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里親体験談

”何にもない時にどれだけ関われるか”を大事に。日常に関われる里親さんの強みとは。【自立援助ホーム②】

”何にもない時にどれだけ関われるか”を大事に。日常に関われる里親さんの強みとは。【自立援助ホーム②】

本日は、自立援助ホームのホーム長である、小林努さんにお話を伺っています。

前編はこちら。

https://www.shortstay-satooya.jp/info/experience/20230214_jien_1.html

8.福祉のプロじゃないからこそできることは?

家庭養育(里親など)につながる質問として伺います。仕事は福祉職ではないけれど、子どもたちとの関わりが素敵だな、良いな、と思う方はどういう方が多いですか?

ある意味、仕事として関わっている人は、本当に伸びると思います。

やはり「その子の人生だ」と思って関わりを持っている人。

職員の人生ではない、という感覚がある人は伸びますね。

ーーーなるほど。里親さんも同じように感じる時があります。

最終的に「子どもの人生」なんですよね。自分の「子どもだから」と言って抱え込まない人、自分ができないことに対して助言を求められる人、オープンな方はたとえ困難な状況に陥っても、軌道修正しやすいと感じています。

そうですね。スタッフ間でも悩んでいる事を抱え込まずに、他の人に出せる人は強いと思います。

逆に、〇〇させなきゃ!と思っている人は向いてないかなと。

例えば、「宿題を子どもに絶対にさせないといけない。」と思っている人には(自立援助ホームは)向いていない。

宿題しなかったら、学校で怒られるんだろうな。じゃぁそのあとにどう子どもと関わろうかな、と思っている人には、向いていると思います。

ーーー私も子育て中なので・・・耳が痛いです。(笑)

でも結局子ども自身の課題なので、宿題の責任を親がとるわけじゃないですもんね。

中学生ぐらいなど、具体的に何歳ぐらいになったら、などの指標ってありますか?

それこそ年齢もですがその子の発達や、入居のタイミングもありますよね。

学生さんなら先生との関係性があります。意図が伝わる/理解できる年齢や環境が整っているのか、というところによります。

ホームであれば、子どもの勤める職場に「あえては起こしません。なので遅刻したら叱ってください」と言います。

ーーーここは里親さんに活かすのが、難しい部分ですね(笑)

仕事として割り切らずに関わるんだ!ということで里親を選択したのに、「仕事だと割り切ったほうがうまくいく」と。笑。

全ての里親さんが抱え込んでやってしまうよりも、本当に良い関係性が作れると思います。

里親さんも同じですが、私たちの強みは”退去者支援”に関われることです。

正直子どもたちに・・・情がわきます。プロとして接していても。

相反することを言っていますが、いつか今いろんなことをあえて伝えているということの意味が伝わるんじゃないか、と思って子どもたちに関わっています。

ーーー里親さんも施設職員さんも同じだと思いますが、真剣にじっくり子どもたちに向き合った結果、お仕事を辞めてしまうケースも多いなと感じます。

スタッフの方にはどう関わり方について、お話されていますか?

こればっかりは、自立支援ホーム自体が発信して、発展していくしか無いなと思います。

年単位で長時間かかると思いますが、重要なことですから。

変な話、うちでは『辞めたくなったら辞めて大丈夫ですよ』と話しています。次の夢が、ここで働く経験を通して達成できることで、通過点になればと思っていて。

そうすることで次の職場でも、うちみたいな自立援助ホームの理解者が増えたらいいと思います。

将来の夢と関わるからこそ、自立援助ホームを選んでもらいたいですが、中には次の夢が決まったので退職する職員もいます。ファミリーホームを始めますとか、週末里親さんの人も働いてくれていて。本当はめちゃくちゃ(!)勤務を続けてほしいんですけどね。でも送り出します。

ーーーそう言ってもらえると、働き出すときも、退職するときも、安心して働けますね。



9.自立援助ホームの「自立」とはどういうことなのか。

ーーー自立とは、どういう意味だと考えられていますか?

1人暮らしするってのは、自立ではないんですよ。

ここができないから助けてほしい、と言えるような関係性を築くことが自立だと思います。

困った時に電話してねって言うだけでは、困ったときには電話できないんですよ。

そうじゃない時、そうじゃないところに、どれだけ関われるかを重要視してます。

子どもたちとの日々の関わりもそうです。

悩んでるから日々関わるのではなく、

日々関わっているから悩んでる時に話してくれる。

そこは間違ってはいけないところで大切にしています。

そこを履き違えないようにしていると、本当に困った時に、相談してもらえる。

日々の生活を大切にするということが大事だと思っています。

ーーー大事なことですね。

家庭内では、このような関係性が構築できないという時期のある子ども・若者は、色んな所にいるだろうなと思います。

自分だけでは100%はできないですよね。

「これができないよ、助けて」と言える関係性は、毎日のちょっとしたことを続けられるか、挨拶ひとつとか、生活を続けられるか、というところにも関わってくるかなと思います。

いわば、例えると食べない朝ご飯をどれくらい作れるかっていうのが大事で。

寝坊した日でも「作ってあるよ!」ということは大事だと思います。

いつか気が向いた時に、「ああ、この人達はちゃんと私を待っていてくれるんだ」というメッセージになりますよね。

毎日君は朝ごはんを食べないからと言って「朝ごはんを作らなかったよ」って言われると寂しいんですよね。もちろん、元々予め「朝ごはんは要らない」って言っていたら別ですけどね。

存在を認めるというより、受け止めている感じですね。

10.承認欲求ではなく、何でもないときにどれだけ関われるかが大切。

最後に里親さんや、里親になりたいなと思っている方たちへ。

心理学の言葉ですが、正の注目・負の注目という言葉をよく伝えています。

正の注目をしすぎると、賞賛やほめられることだけに着目され、結果的に相手に本音で言えなくなってしまう。お手伝いするよとか、そういうことだけに注目する場合ですね。

逆に負の注目は、おもちゃが欲しいからぐずるとか、お腹が痛いと言ってみたり、相手の都合の悪いことをする行動を指します。その結果、逃避傾向が見えてくることもあります。

これらの話は”承認欲求”の話になりますが、それは何もない時にどれだけ関われるか。

アピールしてない時にどれだけ関わっていて、アピールする必要性がなくなるか、によります。

挨拶や生活、そこでちゃんと存在を認識しているということや、

毎日の生活を共にすることが大切です。

ーーーなるほど。承認欲求ではなく、何でもないときにどれだけ関われるかが大切という言葉は少し前にもありましたが、”自立”という観点以外でもでてくるのですね。

子育てって難しいですよね。泣かれたから慰めたり、褒めたりとか。

そういう意味で、日々の雑談は大事だと思います。片方がスマートフォンを見ていると、それだと雑談しにくいですから。

ーーーそうですね。見ている側は目の前の相手ではなく、画面と対話してる感じがありますよね。

何もない時にどれだけ関われるかは、里親さんにも通じる言葉だなと思います。

子どもの存在自体を認められる関係性を作ることは、とても大事だなと思いました。

ーーー最後におしらせはありますか?

自立援助ホームでは、職員やボランティアさんを募集しています。

こうやって関わりを持つ、見れるのは里親さんにとってもとても勉強になると思います。

例えば、里子さんが将来大きくなった時にこういう事に困るんだとか、巣立ってからの仕事の支援はどうしたらいいのかなとか。そういうのも見れるかなと思います。

里親さんだからこそできることがあると思っています。応援しています。



小林さん、貴重なお時間をいただきインタビューに答えていただきありがとうございました。

このインタビューにはお話いただいた一部しか載せられなかったのですが、

一貫して「里親さんも一人で悩まないでくださいね。私達も関係者や専門家をどんどん頼っていますし、だからもっと里親さんも頼っていい。」というメッセージがひしひしと伝わるお話でした。

社会的養護・養育の分野で子どもさんの生活に直接関わるという仕事はたくさんありますが、「生活面から関わる」という観点でとても勉強になりました。

里親に興味がある方や、里親登録はしたけれど未委託の方、まずはボランティアから始めたいなと言う皆さんにも、ぜひ自立援助ホームの選択肢も思い出していただけたらと思っています。

(インタビュー・文責 千葉 2023年2月14日)

お問い合わせはこちらへ

https://chabonavi.jp/place/603

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