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社会的養護施設の職員不足を解消したい!NPO法人チャイボラさんの活動内容、始めたきっかけと代表の熱い思い NPO法人チャイボラの大山さんインタビュー

社会的養護施設の職員不足を解消したい!NPO法人チャイボラさんの活動内容、始めたきっかけと代表の熱い思い NPO法人チャイボラの大山さんインタビュー

今回は先日お話を伺ったNPO法人チャイボラの大山さんとのインタビュー記事をお届けします!

NPO法人チャイボラとは「社会的養護施設の職員確保と定着を支援する」日本で唯一の団体です。

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Q.現在大山さんが運営されている、NPO法人チャイボラ(以下、チャイボラ)の中心であるチャボナビについて教えて下さい。

大山さん:チャイボラでは、社会的養護に関わる施設とそこで働きたい人をつなぐための総合情報サイトであるチャボナビを運営しています。

チャボナビの特徴としては、求人情報の掲載は社会的養護の施設(児童養護施設など)に特化することで志望度が高い学生を絞りこむようにし、ひとりでも長く働く人を施設に繋げたいと思っています。

Q.チャイボラでは、チャボナビ以外の活動もされているのですか?

大山さん:はい、しています。児童養護施設などの社会的養護に関わる施設で働く職員の確保としては、大学・短大・専門学校への出張授業を施設職員と共に実施しています。それ以外にも、施設に少しでも関心のある学生向けに施設見学会の企画運営やサポートも。

ー「出張事業」、「見学会」とはどんなものでしょう?

出張授業では、近隣の施設職員と出向き、働く上でのやりがいや魅力と同時に、辛いところも正直にざっくばらんに話す場を作っています。見学会については、就活というよりはもう少しカジュアルな雰囲気で、子どもたちや職員との交流をしたりするイベントや、就職を強く意識した内容等様々開催しています。

ーコロナ禍で始まったオンライン相談窓口のことについて

それらの人材確保の活動に加えて、施設で働く現場職員の定着促進として、オンライン相談窓口を始めました。きっかけとしては、コロナウイルスの影響で学校が次々と休校になり、施設で働く職員の負担が激増したことです。普段職員は、子ども達が学校に行っている間に会議などの業務をこなしているのですが、一斉休校になったことで日中は子ども達につきっきりになり、その他の仕事は深夜対応になるなどかなり過酷な状態となりました。そんな様子をみて、職員が不満や愚痴を吐き出したり、悩みを相談したりする場が一刻も早く必要だと感じ、窓口の開設を決意しました

ー実際の窓口はどのような形で相談できるのでしょうか?

現在運営しているオンライン窓口のアプリでは、元児童養護施設職員が窓口に立ち社労士・弁護士・心理士などの専門家と連携し、チャットでいつでも気軽に相談できる環境になっています。また、全国の職員が参加できるオンライン研修も始めました。そこでは研修内容そのものの満足度が高いことに加えて、全国に同じ思いで働く仲間がいるということを感じられるので職員の働くモチベーションアップになったという声を多数いただいています。

ーーー

なるほど!NPO法人チャイボラさんの活動がよくわかりました。
まとめると、NPO法人チャイボラさんの活動は、大きく以下2つになりますね。

〈①人材確保事業〉
・社会的養護施設に特化した総合情報サイト『チャボナビ』の運営
・施設見学会の企画・運営
・大学、専門。短大への出張授業

〈②人材定着事業〉
・現場職員向けのオンライン相談窓口の運営
・現場職員向けのフォローアップ研修の実施

ではここからは、NPO法人チャイボラの代表である大山さんご自身のことを伺っていきたいと思います。

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~チャイボラでの活動のきっかけ~
Q.大山さんが、現在のチャイボラでの活動を始められたきっかけを教えてください。

大山さん:社会人としてのファーストキャリアは、株式会社ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)からスタートしました。わたしの父が学習塾を経営していたので、様々な子どもの姿を見ながら育ちました。

塾には、席に座っていられない子、外を走り出す子、授業を聞かずに消しゴムを食べている子などいろんな子どもがいて、わたしは子どもながらになんとなく「学びの意欲の差」を感じていました。そのときから、幼児期の家庭環境や親子の関係が、子どもの後々の人生に大きな影響を与えると感じ、就職するときに家庭幼児教育教材を取り扱っている会社を希望しました。

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Q.幼い頃からの想いが叶っての就職だったのですね。そんなベネッセを退職されたのはどうしてですか?

大山さん:ベネッセの教材を寄付したいなと思って知り合いの施設職員に連絡を取ったのですが、そのときに、「モノより人手が足りない」と言われたのがきっかけです。当時、その職員は幼児から大学生まで8人の担当をしていました。そのときちょうど入所してきた子どものひとりは、親からはネグレクトされており、トイレで用をたす習慣がないとのことでした。施設の職員達は、そのような子達を毎日安全に暮らせる環境を作ることに精一杯で、とても教材を使って何か学びの場を作るような状態では無かったのです。そのような現状を知って、いてもたってもいられなくなり、電話をした一週間後に8年間働いたベネッセに辞表を提出しました。

Q.ベネッセを退職された後は、すぐに施設で働き始めたのですか?

大山さん:社会的養護の勉強を始めて、すぐに施設で働こうと思っていました。しかし当時は資格がないと施設では働けず、30歳で保育資格を取れる夜間の専門学校に入学しました。

~児童養護施設で働くために専門学校に入学~

Q.専門学校に在籍中、現在の活動につながる出来事があったのでしょうか?

大山さん:はい、そうです。専門学校では社会的養護に関する授業があったのですが、36人いたクラスメイトの中で、児童養護施設について聞いたことがある人は4人、説明できる人は誰もいませんでした。そのような状態だったのですが、授業の担当教員が児童養護施設で働いていた人で、授業の内容もとても素晴らしく、結果としてクラス中11人が児童養護施設への就職進路を検討し始めたのです。しかしながら、半年後にはまた保育園へと進路希望を戻してしまったのです。なぜ一度児童養護施設に興味を持った人たちが進路を変えてしまうのか気になって、同様の立場の学生150人にインタビューをしたところ見えてきた一番の原因は、児童養護施設側からの情報発信が弱いことでした。

ー児童養護施設の現状と課題、任意団体を立ち上げる経緯について

施設の運営費の内訳には「広報費」という勘定科目がないですし、ボランティアや職員達が自らホームページを作っているような施設も多い状態でした。オンラインでの発信力が無いことに加えて、そもそも、人手が足りないのに採用にお金や時間がかかるという感覚が不足しているように感じました。その気づきから、もしかすると、「たとえ児童養護施設に予算が無く広報に力を入れることが難しくても、誰かが施設の情報を発信し、施設への就職に興味のある人に届けることができれば、採用数は伸ばせるのではないか」と思い、クラスメイトと任意団体を立ち上げました。

Q.当時の任意団体ではどのような活動をされたのでしょうか?

大山さん:まずは、学生に児童養護施設の子どもたちと遊ぶボランティアイベントを企画しました。色んな施設にお声がけをしていくうちに団体の認知が高まり自立援助ホームで初めて採用を兼ねた見学会を実施できることになりました。結果として、前年度の10倍に近い見学者を集めることができました。「児童養護施設であっても、採用のやり方次第で応募者は増やせる!」ということを実感しました。そしてその約1年後にNPOの法人格を取得し、クラウドファンディングで資金を集めてチャボナビを立ち上げました。

ーー

大山さんの行動力には、終始脱帽ですね・・・!

~児童養護施設で働いてみて~

Q.大山さん自身が、専門学校を卒業後に児童養護施設で働かれてみて、どのような印象ですか?

大山さん:今の施設で働き始めたときは、小学生から大学生までの児童を日中は8名、夜間は15名を一人でみていました。その多くが虐待の経験を持っている子です。いわゆるワンオペ育児に加えて、家事全般、そして職員としての会議参加などもこなしている状態で(私は正職員ではないので会議参加はありません)、子どもたちと一人ずつゆっくり話す時間を確保するのは難しいですね。

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Q.児童養護施設での仕事から離職する人は、その後はどのような進路を選ぶのでしょうか?

大山さん:別の施設に異動するというよりは、職種を変えてしまう人や、社会的養護に関する仕事そのものから離れてしまう人が多い印象ですね。これはあくまでも私の知りうる範囲の方の話ですが。

Q.大山さんが、施設職員として働くモチベーションは何ですか?

大山さん:施設に来る子どもたちは、一度親や家族と離れ離れになることを余儀なくされています。ですので、施設に来る子どもたちにとって、職員も“自分たちのそばからいなくなってしまう大人なのだ”と思わせたくないのです。施設や職員が子どもたちにとって、いつまでもある実家であり、帰れる場所であるために、わたしは一生職員を続けようと思っています。

Q.本サイト「さとなび」に訪れる人たちへ、何か伝えたいことはありますか?

大山さん:一番お伝えしたいことは、“虐待をしてしまう親=悪魔ではない”ということですね。施設で働いていて色んな親を見てきましたが、子どものことを本当に憎んで施設にいれる親は本当に少ないです。メディアでは虐待をした親が容疑者として取り上げられてしまっていますが、実際は施設に連絡したり会いに来たりする親は多いです。そして親が子どもを思う以上に、子どもが親を愛する力は強いと感じます。ひどい虐待を受けてきても、親のことを悪く言わない子もいます。
施設の職員は、そのような親と子の想いを信じて、いつかまた一緒に暮らせるようになるように必死に働いています。

ー誰もが自分だけで完璧な子育てなんてできない

私は、誰もが完璧に子育てなんてできないと思っています。虐待はあくまでも結果であり、世間での虐待のニュースだけを見ているとどうして虐待にまで至ってしまったかの背景が全然伝わっていないですよね。施設は、その虐待に至った背景まで踏まえて、“家族の再統合”も目指す場所です。
誰もが完璧に子育てなんてできないのだから、施設以外でも、子育てに疲れて親と子の関係が少し危ない状態になっている親子が近くにいたら、お互いに「どうしたの?何か手伝おうか?」と声を掛け合える社会にしたいと思っています。

Q.同じ社会的養護の目的として存在する、施設と里親についてどのような役割分担だと考えてらっしゃいますか?

大山さん:施設と里親の役割については分断して考えていません。それぞれの強み弱みがあると思います。
 年齢が低いお子さんを希望する里親さんが多いと思いますが、例えば中高生で暴力傾向が強めのお子さんを受け入れられる里親さんは少なくなります。障害の有るお子さんの場合、専門的な知識や対応スキルを要することもあります。そうなった場合、どうしても受け入れられる里親さんは限られてきます。
 一方で施設は専門職が多数所属しチームで養育します。なので特性が強いお子さんでも対応できる範囲は広がります。その代わり里親さんのような子どもとの一対一の関わりはどうしても減ってしまいがちです。
なので、お子さんによって里親が向いている子。施設が向いている子がいると思っています。
 現在の施設は施設内の児童の対応に追われがちで地域の家庭や里親支援まで手が回らないところも多くあります。
しかし徐々に支援の範囲を広げる傾向が強まってまいりました。将来的には、施設が地域の子育ての拠点となって里親もサポートできるような環境を作っていきたいと思っています。

世間では、施設と里親は、どちらかを選ぶといった二項対立の制度としてとらえられがちです。

ー施設と里親らが互いに連携し、子どもにとっての最善の利益を考えたい

大山さん:施設も里親もあくまでも代替養育であり、実親との関係再構築を目指す子もいるということを理解する必要があります。“この子にとっての最善の利益とは?”時には自身の感情を押し殺してもこの問に向き合い子どもと関わることがとても大切だと思っています。

●里親制度とは

さまざまな事情で家族と離れて暮らす子どもを、自分の家庭に迎え入れ、温かい愛情と正しい理解を持って養育する制度です。

里親の種類について(一部を抜粋_RAC)

里親制度は、子どもが欲しい大人のための制度ではなく、子どものための制度です。

子どもに関わる施設職員、里親、そして周りでサポートする大人全員が一人ひとりの子どものことを考えて行動しなければと思いました。

大山さん、素敵な活動のご紹介をいただきありがとうございました。

NPO法人チャイボラ
公式HP / 公式Twitter(@Chaibora_npo)

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