里親情報
【実際に使えなければ意味がない?!】自分も子育てから離れたくて、プチ家出をしようとしたこと。〜南雲由子さん〜ver2
今回は板橋区議会議員で、ご自身もショートステイの利用経験のある、
南雲由子さんにお話を伺いました。
板橋区では2021年に子どもショートステイ(協力家庭)事業が始まり、
2022年からは子ども家庭総合支援センターで予約ができるようになっています。
南雲さん自身も現在5歳になるお子さんを育てておられ、
まさに現役母親世代の代表として区議会議員をされています。
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(写真はイメージです)
この前、私、家出したくなったんですよね 笑
お母さんという役目を一回お休みしたい。
それって大事かなと思います。
お母さんがショートステイで子どもを預けて、少し休んで回復するとか、
美容院に行くとか、そこを自分のためだけに使うでもいいと思うんですよ。
コロナ禍は特に鬱になってしまったママからの相談が多かった。
(行政側と区民の間で見ていると)例えばママが鬱になってしまったりモラハラから逃げようとしてる場合に、
行政が『今後、お母さんはどうしていきたいの?』と聞いたりする…聞かれても、うつ状態のときに判断は難しいですよね。
自分が倒れそうになるより前に、いろんな子育て支援制度を利用してもらうのが大事です。
鬱などの医療介入が必要になると、お母さん側に支援が必要になってしまうから、
もっとその前に使ってほしいです。
(千葉)実はそれは、協力家庭側のリスク担保の面でもとても大事です。
お母さんがちょっと育児で大変そう。
まだ今なら休憩して、誰かと一緒に考えて解決できそう。
その状態のときのお子さんだから、預かれるんですけど…という場合もあります。
(お母さんが鬱で入院してしまった後に、手続きとしても
ショートステイの登録は難しいこともあるからです。)
すごくしんどくなってから使うじゃなくて、早めに使う。
しんどいかしんどくないかを、自分では分からないという問題があって。
分かってればちゃんと使えるんですよね。ちゃんと自分で、やばいなって思える人。
前にも仕事でメンタル崩したことある人とかは、これはヤバいパターンだなとか分かると思うんですけど、そこが気付けるかどうかって客観性がいる。余裕がないと無理ですよね。
自分自身を俯瞰して見れる。それぐらいの余裕がある。
正直、それは子どもと一緒に関わっている真っ最中は難しいなと思っています。
それを求めるのは無理とした上で、ショートステイの利用者数が、ファミサポ(*1)ぐらい利用者と同じくらいまで増えてパッと使えるキャンペーンみたいなものがもっとあればいいですよね。
「子どもを預ける系」のベビーシッターや一時保育は、初回の登録のハードルが高いですよね。気持ち的にも、申し込む労力や時間も、いろんな観点で難しいんですよね。
私も乳児院に登録に行ったきっかけは「第2子出産時に、家族が間に合わなかったら上の子(当時1歳10ヶ月)を預ける相手がいないから」でした。きっとその理由がなければ登録しなかったのではと思っています。
オデリアホームさん(中野区の乳児院。板橋区には乳児院がないため、乳児ショートステイは数年前まではこちらしか選択肢がありませんでした。)は遊ぶところも広くてきれいですよね!
ショートステイの預かりの場所も分かれてますよね。
分かります。(笑)
「乳児院に預けるなんて…」と思いますよね。
乳児院に子どもを預けるって「このまま帰ってこないんじゃないか?」ぐらいのイメージがありますよね 笑。なんかすごい悪いことしてるみたいな。
仕事とか疲れているとはいえ、そんな所に預けるなんてと。
子どもに負担をかけてしまっていいのか?って最初は思いました。
そのときに子どもショートステイ協力家庭の制度があれば、長男は板橋区内で預けられたし、いつも通っている保育園に登園できていたのだろうなと思っています。
乳児院が(板橋区内にも)できたらいいのでは、と議会でも言われるんですけれど。
一時的なショートステイ(の利用のみ)を考えるんであれば、協力家庭を増やしていったほうが全体的に良いかなと思います。(頼む)ハードルも乳児院よりも低いかなっていう気がします。
乳児院も施設にも言えることですが、
本当は親子分離になる前にサポートができる方が繋がって、
子どもも大人も無理せず繋がって過ごせたらと思っています。
そういう意味では、最終目標は里親を増やさなくてもいい。
協力家庭を板橋区として、増やしていって良いのではないかと、個人的には思ってます。
協力家庭を増やしたいし、利用する家庭も増えていったらいいですよね。
そうですね。
実利的に子どもを預けられるというメリットはありますが、なかなか(預ける理由がなくては)多分まだ使いにくいので。
最終ゴールは、”自分のために使う”になるのですけど、
最初から自分のために使うのって難しいですよね。
なので、そこのハードルをまず下げて、伝えられたらいいですよね。
(最初に話した)プチ家出みたいに。
イライラってしてる時に
『あ、あの制度、今使えるんじゃないかな』と思い出してもらえたら。
申し込んで、家出を実際にはしなくても、
子どもが寝たあとの30分ぐらいに、ショートステイを検索して妄想するみたいなことができたら、ちょっとスッキリする気がします。
お守り代わりとまではいかないんですけど、本当そうだなとおもいます。
困る前に、預ける先がちゃんとある。
そう思える状態は、保護者の心に”安心”を運んでくれます。
すくすくカード(*2)みたいに産後すぐに使えたり、
プレゼントでチケットで使えるとかあればいいですよね。
ちなみに板橋区では、ショートステイ協力家庭事業は生後43日目からの利用ができますが、それより前には産後ケアの事業も充実してきているそうです。
私は産後ケアの板橋区の制度を使ったことがなかったので知らなかったのですが、今は訪問型や宿泊型といろんな産後ケアが利用できるそうです!(*3)
訪問型は育児ヘルパーみたいなイメージで、
宿泊型は病院(豊島病院など)で宿泊するものですね。
別で、産後ケア施設みたいなものもありますよ。
すくすくカードでも使えるんですねいいですね。
でも産後ケアをを使えるのは2ヶ月未満なんですね…
しんどい時とはいえども、その時に預けるのは(スケジュールを組んだり、申し込みをするのが)結構大変ですね。
そうなんです。先日も知っている方が、出産された時に赤ちゃんの対応が大変とお話されていたので、産後ケアを紹介しました。
実際には、利用はどうしようか迷ったようで。
最終的には使いませんでした。
でも、使えるかもって思うだけで、安心できますよね。
預けたいなと思っていたけど、実際に使うのは遅かった方は、何人もいます。
正直、自分のことでいうと、生まれてから3・4ヶ月までは…何かどうしたらいいのか分からなくって。産後ケアサービスは(第一子のときは)全くと言っていいほど使えなくて。
子どもショートステイに預けることもそうですが、まだまだ全然メジャーじゃない。
でも産後ケアが広がってきたように、もっと使えると凄いですよね、というお話を二人でさせていただきました。
数年前私自身も板橋区に住んでいたのですが、知らなかった事業や使いやすくなった事業が増えていて、区の政策の進化を実感しました。
南雲さん、わかりやすくいろんな観点でインタビューに答えてくださり、ありがとうございました。
これからもっと利用者が増え、ショートステイ協力家庭に登録される方も増えていけばいいなと思っています。
引き続き、各地域での子育て支援が充実していきますようにRACでも政策提言の活動にも力を入れていきたいと思います。
ファミリー・サポート・センター事業について
地域活動への参加などでお子さんの保育ができないとき、保護者に代わって短時間の保育サービスや学校・保育園等の送迎を行う区民の主体的な子育て援助活動(育児の援助を行いたい区民と育児の援助を受けたい区民からなる会員制組織)を区が支援しています。
ファミリー・サポート・センター事業|板橋区公式ホームページ板橋区公式ホームページ
妊娠中から出産後の乳幼児を抱える保護者の育児不安・負担を軽減するため、外出機会の確保やリフレッシュ機会の促進など、子育てしやすい環境づくりの推進に資することを目的として、板橋区では子育て世代を応援する利用券(すくすくカード)を配付しています。
【新すくすくカード(令和3年4月1日以降に妊娠(出産)、転入の場合)】
板橋区内に住所を有する妊娠中から3歳未満のお子さんの保護者(父、母又は祖父母)の方が対象です。
【旧すくすくカード(令和3年3月31日以前に出産、転入の場合)】
板橋区内に住所を有する2歳未満のお子さんの保護者(父、母又は祖父母)の方が対象です。
注:いずれも特別養子縁組による父母も対象になります。
すくすくカード事業|板橋区公式ホームページ板橋区公式ホームページ